トラッキング・エラー
トラッキング・エラー(Tracking Error)とは、ポートフォリオやファンドのリターンが、ベンチマークインデックス(基準指数)とどの程度乖離しているかを示す指標である。この指標は、ファンドのパフォーマンスがベンチマークにどれだけ追随しているかを測るもので、一般的にはリスクの評価に用いられる。トラッキング・エラーは、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの差の標準偏差で表される。
トラッキング・エラーの算出方法
トラッキング・エラーは、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの差(アクティブリターン)の標準偏差を計算することで求められる。具体的には、以下の手順で算出される。まず、一定期間にわたるポートフォリオとベンチマークのリターンの差を求め、その差の標準偏差を計算する。この標準偏差がトラッキング・エラーとなり、ファンドのリターンの変動がベンチマークとどれだけ乖離しているかを示す。
トラッキング・エラーの重要性と利用
トラッキング・エラーは、ファンドやポートフォリオの運用がベンチマークにどれだけ一致しているかを示すため、運用のスタイルやリスク管理の指標として重要である。特にインデックスファンドやパッシブファンドの運用では、トラッキング・エラーが低いほど、ベンチマークとの一致度が高いとされる。一方で、アクティブファンドやアクティブ運用のポートフォリオでは、トラッキング・エラーが高くなることがあるが、これは意図的にベンチマークからの乖離を追求している場合がある。
トラッキング・エラーの限界
トラッキング・エラーはポートフォリオのリスクを測る有用な指標であるが、その限界もある。例えば、トラッキング・エラーが低いからといって、必ずしもファンドが良い運用をしているとは限らない。また、長期間のデータに基づく標準偏差は、短期的なパフォーマンスの変動を捉えきれないこともある。したがって、他のリスク指標やパフォーマンス評価と併せて利用することが重要である。
まとめ
トラッキング・エラーは、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの乖離を示す指標であり、運用のスタイルやリスク管理の評価に役立つ。ただし、その限界も理解し、他の指標と合わせて評価することが推奨される。