スローストキャスティクス
スローストキャスティクス（Slow Stochastic）とは、技術分析におけるオシレーターの一つで、価格の過剰な買われすぎや売られすぎの状態を示す指標である。ストキャスティクス（Stochastic）指標の一種で、価格の変動が一定期間内の最高値と最安値の範囲内でどの位置にあるかを測定する。この指標は、トレンドの転換点を探るために用いられる。
スローストキャスティクスの特徴
スローストキャスティクスには以下のような特徴がある。
1. **遅延型オシレーター**：スローストキャスティクスは、一般的なストキャスティクス指標をスムージングすることにより、より安定した信号を提供する。
2. **2つのライン**：通常、%Kラインと%Dラインの2つのラインで構成される。%Kラインは現在の価格を基に計算され、%Dラインは%Kラインの移動平均である。
3. **オーバーソールドとオーバーバウト**：スローストキャスティクスは、0から100までの範囲で表示され、通常は80以上がオーバーバウト（買われすぎ）、20以下がオーバーソールド（売られすぎ）とされる。
4. **シグナルの交差**：%Kラインと%Dラインの交差により、売買シグナルが生成される。%Kラインが%Dラインを上抜けると買いシグナル、下抜けると売りシグナルとされる。
スローストキャスティクスの計算方法
スローストキャスティクスの計算方法は以下の通りである。
1. **%Kラインの計算**：特定期間（例えば14日間）の最高値と最安値の範囲内で、現在の価格がどの位置にあるかを計算する。公式は、%K = [(現在の価格 – 最安値) / (最高値 – 最安値)] × 100である。
2. **%Dラインの計算**：%Kラインの移動平均を計算することで、%Dラインを求める。通常、%Dラインは%Kラインの3日間の単純移動平均である。
3. **スムージング**：スローストキャスティクスは、%Kラインの短期的な変動を平滑化するために、より長い期間のデータを用いることが一般的である。
スローストキャスティクスの活用方法
スローストキャスティクスは、以下のように活用される。
1. **トレンドの転換点の識別**：%Kラインと%Dラインの交差を利用して、トレンドの転換点や逆転のシグナルを探る。
2. **オーバーソールド・オーバーバウトの判断**：スローストキャスティクスの値が80以上や20以下になることで、買われすぎや売られすぎの状態を判断する。
3. **ダイバージェンスの検出**：価格とスローストキャスティクス指標の間にダイバージェンスが見られる場合、トレンドの転換が示唆されることがある。
スローストキャスティクスの実例
スローストキャスティクスの実例としては、株式や為替市場での利用がある。例えば、ある株式のスローストキャスティクスが20を下回ると、売られすぎのシグナルとされ、買いのタイミングと見なされる場合がある。また、スローストキャスティクスが80を超えると、買われすぎのシグナルとされ、売りのタイミングとして考慮される。