ストキャスティックス
ストキャスティックス（Stochastics）は、金融市場で使われるテクニカル分析の指標の一つで、価格の変動を基にしたオシレーター型指標である。これは、特定の期間内における価格の変動範囲と現在の価格の位置関係を示し、過去の価格データを元に市場の過熱感や過小評価を把握するために用いられる。
ストキャスティックスの基本概念
ストキャスティックスは、%K線と%D線の二つのラインから構成される。%K線は、一定期間内の最安値と最高値の範囲内での現在価格の位置を示し、一般的には14日間のデータを用いることが多い。%D線は、%K線の移動平均線で、通常は3日間の移動平均を採用する。
ストキャスティックスの計算方法
ストキャスティックスの計算は以下のように行われる。まず、指定した期間（例：14日間）の最高値と最安値を求める。次に、現在の価格がこの範囲内でどの位置にあるかをパーセンテージで計算する。具体的には、以下の式を用いる：
%K = [(現在の価格 – 最安値) / (最高値 – 最安値)] × 100
%D = %Kの3日間の移動平均値。
ストキャスティックスの使い方
ストキャスティックスは、一般的に0から100の範囲で変動する。70以上の値は「過熱」状態、30以下の値は「過小評価」状態と見なされる。過熱状態では売りシグナル、過小評価状態では買いシグナルが示唆されるが、単独での判断はリスクがあるため、他のテクニカル指標と併用するのが望ましい。
ストキャスティックスのシグナル
ストキャスティックスのシグナルとしては、%K線と%D線の交差が重要である。%K線が%D線を上から下にクロスする場合は売りシグナル、逆に下から上にクロスする場合は買いシグナルとされる。また、%K線が70を超えた後に下向きになる場合や、30を下回った後に上向きになる場合も取引のタイミングを示すシグナルとなる。
ストキャスティックスの限界
ストキャスティックスは有効な指標ではあるが、単独での使用には限界がある。特にトレンドが強い市場では、過熱や過小評価のシグナルが遅れることがあるため、他のテクニカル指標や市場の状況と併せて判断することが重要である。また、短期的な市場のノイズに敏感であるため、長期的な視点も考慮する必要がある。