ジルコニア
ジルコニア(ZrO₂)は、酸化ジルコニウムから成るセラミック材料であり、非常に硬く、耐熱性、耐摩耗性、耐化学薬品性に優れた特性を持つ。白く美しい見た目から人工宝石や装飾品に使用されるほか、その物理的な強度と生体適合性から歯科用材料や工業用途でも広く利用されている。特に、高温に強く、衝撃に対しても靭性を持つことから、耐火材、切削工具、セラミック部品、燃料電池の電解質として使用され、幅広い応用範囲を持つ。ジルコニア(ZrO₂)は、その耐久性と多用途性で、科学・工業から医療に至るまで重要な素材である。
ジルコニアの物理的・化学的特性
ジルコニア(ZrO₂)の主な特徴は、その非常に高い硬度と優れた耐熱性である。ジルコニアは、モース硬度で8〜8.5を示し、非常に硬いため、摩耗に強く、耐摩耗部品として利用される。また、ジルコニア(ZrO₂)は融点が約2700℃と非常に高く、耐火材料としても優秀である。さらに、化学的に安定しており、酸やアルカリなどの化学物質に対しても耐性を持つ。このため、過酷な化学的環境下で使用される装置の部品としても活躍している。また、イットリウムなどの安定化剤を添加すると、ジルコニア(ZrO₂)は部分安定化され、靭性が向上し、衝撃に対しても耐性を持つようになる。
ジルコニアの応用分野
ジルコニア(ZrO₂)は、歯科用のクラウンやブリッジの材料として非常に人気が高い。これは、ジルコニア(ZrO₂)が生体適合性に優れており、また天然の歯に近い色と強度を持っているためである。さらに、工業分野においては、ジルコニア(ZrO₂)はセラミック部品として耐久性が求められる場面で使用される。切削工具のチップ、耐火ブロック、ポンプ部品などの耐摩耗性部品としての利用が一般的である。また、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の電解質としても利用されており、ジジルコニア(ZrO₂)コニアの高いイオン伝導性を活かして、電気化学反応を効率的に行う役割を担っている。
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本日は、#東ソー 株式会社(@Tosoh_japan )の 高機能材料事業部セラミックス部 町田海里 さん、無機材料研究所の 永山仁士 さんに、歯の治療に欠かせないセラミック「#ジルコニア」について伺いました!🦷
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メリット
ジルコニアの利点は、その高い硬度と耐熱性、そして耐化学性である。これにより、機械的に高い強度を必要とする用途や、高温での使用に適している。また、生体適合性も高いため、医療分野での応用も広がっている。歯科材料としてのジルコニア(ZrO₂)は、見た目の美しさと強度が求められるクラウンやインプラントに適しており、また、アレルギーが起こりにくいという点でも優れている。加えて、化学的に安定しているため、化学プラントでの部品や、腐食性の高い環境での使用にも耐えられる。
課題と注意点
ジルコニア(ZrO₂)にはいくつかの課題も存在する。まず、製造コストが高いため、他のセラミックスに比べてコスト面で不利になることがある。また、加工が難しく、特に高硬度のジルコニア(ZrO₂)を精密に加工するためには、ダイヤモンド工具などの特別な機材が必要であり、加工費用が高くなる。また、強度が高い一方で、急激な温度変化に対しては脆くなる傾向があり、熱衝撃による破損のリスクがある。このため、使用する環境や温度変化に十分に注意が必要である。
ジルコニアと他のセラミックスの比較
ジルコニア(ZrO₂)は、他のセラミックスと比較して、非常に高い靭性と強度を持っている。例えば、アルミナと比較すると、ジルコニア(ZrO₂)は靭性に優れており、割れにくい性質を持つ。このため、高い耐衝撃性が求められる用途ではジルコニア(ZrO₂)が選ばれる。一方で、アルミナはジルコニア(ZrO₂)に比べて軽量でコストも低いため、大量生産や軽量化が重要な用途ではアルミナが適している。また、窒化ケイ素などの他のセラミックスと比較しても、ジルコニア(ZrO₂)は優れた耐摩耗性と耐化学性を持つが、やはり加工の難しさとコストが課題となる。