コンコルド効果
コンコルド効果(Concorde Effect)とは、あるプロジェクトや投資に対して既に多くのリソースを投入してしまったがゆえに、そのプロジェクトが失敗する可能性が高いと分かっていても、さらにリソースを投入し続ける心理的傾向を指す。この現象は、経済学や行動経済学の分野でよく議論され、サンクコスト効果(Sunk Cost Fallacy)とも関連している。名前の由来は、フランスとイギリスが共同開発した超音速旅客機「コンコルド」のプロジェクトから来ており、膨大な開発コストがかかっていたにもかかわらず、商業的な成功が見込めないことが明らかになっていたにもかかわらず、開発を続行したことにちなんでいる。
背景と由来
コンコルド効果の名称は、1960年代から1970年代にかけて開発された超音速旅客機「コンコルド」プロジェクトに由来する。このプロジェクトは、フランスとイギリスが共同で進めたもので、初期段階では非常に革新的であり、大きな期待が寄せられていた。しかし、開発が進むにつれ、コストが膨大にかかり、さらに商業的な需要が限られていることが明らかになった。それにもかかわらず、既に巨額の資金を投入していたためにプロジェクトを中止することができず、最終的に経済的には失敗に終わった。このように、既に多額の資源を投入したことが後の意思決定に影響を与える現象を「コンコルド効果」と呼ぶ。
経済学的な解釈
経済学において、コンコルド効果はサンクコスト(埋没費用)と密接に関連している。サンクコストとは、既に支出してしまい、取り戻すことができないコストのことを指す。合理的な意思決定は、将来の利益やコストに基づいて行われるべきであり、過去の支出は意思決定に影響を与えるべきではない。しかし、コンコルド効果に陥ると、過去の支出が心理的に重荷となり、さらなるリソースの投入が続けられてしまう。この現象は、個人だけでなく、企業や政府などの大規模な組織においても見られる。
実例と影響
コンコルド効果は、金融や投資の分野でよく見られる。例えば、ある企業が失敗の可能性が高いプロジェクトに巨額の資金を投入した場合、そのプロジェクトを中止することで損失を最小限に抑えるべきであるが、これまでの投資を無駄にしたくないという心理が働き、さらなる資金を投入してしまうケースがある。これにより、最終的な損失が増大し、企業全体に悪影響を及ぼすことがある。また、個人の投資家が損失を出している株式を売却せず、さらなる投資を行うことで損失を拡大させることも、コンコルド効果の一例である。
防止策と対策
コンコルド効果を回避するためには、意思決定の際に過去の支出にとらわれず、将来のコストと利益に基づいて判断することが重要である。具体的には、定期的にプロジェクトや投資の再評価を行い、状況が変化した場合には、躊躇せずに方向転換や中止を検討すべきである。また、意思決定プロセスにおいて、外部の専門家の意見を取り入れることで、感情的なバイアスを排除し、より客観的な判断が可能となる。
結論
コンコルド効果は、過去の投入資源に執着することによって、非合理的な意思決定を引き起こす現象であり、経済的な損失を招く可能性がある。